この街に住むということ。それはあやの台小学校に通うということ。楽しく学んで豊かな心を育む学校生活を一挙公開します。

地域に開かれ、地域の核となる学校を目指す

開校以来、6年。「地域に開かれた学校」を目指し、
魅力的でユニークな取り組みにチャレンジしている「あやの台小学校」。
今回は、そんな「あや小」の魅力を、校長である今田実先生にお尋ねしました。

大きな吹き抜けのある開放的な校舎。
地域の方々がイベントにも利用

開校されて6年、まだまだ新しい小学校ですが、まず教育方針をお聞かせください。

開校以来、「人づくり、地域づくり、夢づくり」を基本的なコンセプトに取り組んで来ました。彩の台という、もともとは何もないところにできた街ですので、学校が地域の核になるものでありたいと考えています。保護者だけでなく、地域の人たちにも関わってもらいながら、地域みんなで子どもを育て、また関わる大人たちも一緒に学べる、そんな学校でありたいと思います。

そのような想いを具体的な形として表現したのが、この校舎でしょうか? 
非常に開放的で驚きました。特に天窓がある大きな吹き抜けと、まるでショップングモールのような大階段が、ちょっと今までの学校のイメージを超えています。

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生徒の作品ギャラリーやイベントの観客席にもなる大きな階段。

以前より「これからの学校は、地域に開かれているべき」という考え方はありました。しかし、実際の形として表された建物というのは、当時、あまりなかったかもしれませんね。
第一に考えたのは、地域の方が来られた時に、教室だけで活動するのではなく校舎全体を使えないかということです。その一例が、あの階段です。階段を降りたところは小さなホールのようになっていて、ここでいろんなイベントを行います。その時は、階段が観客席になるわけです。他にも、学校の敷地内には田んぼや畑もあり、地域の皆さんがいろいろ世話をしてくださっています。

校舎の敷地だけでなく、住宅地やその周囲の田んぼ、畑もふくめて「キャンパス」として活用されているような感じですね。

5年生が授業で地域のパンフレットを作っていたのですが、それを彩の台の販売センターに置かせてもらいたいと言ったのです。自分たちの授業・学習に留めておくだけでなく、そうやって地域に返していくことによって、子どもなりに地域の中で役割を果たしていくことが重要だと思います。

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校庭に作られた水田。もち米を栽培しています。地域の方がふらりとやって来て、草むしりなどをしてくださるのだとか。

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水田は、無農薬の合鴨農法。「かものおへや」もあります。

「ESD活動」を通し、
自ら主体的に取り組んで行ける子どもたちに

ではコンセプトを実現するための「場」としての校舎で、どのような授業を行っておられるのでしょうか?

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図書館では、図書ボランティアの方が、子どもたちの本選びをお手伝い。

通常の授業も地域の方にお手伝いしていただいています。例えば家庭科での実習の際、近くに住むおばあちゃんにお手伝いに来ていただきました。また、国語で「ある作品を読もう」という企画の時には、その作家の他の作品や似た作品を読むという発展的な学習のために、ボランティアの方が図書館で本を選んできてくださいました。朝の読書の時間に低学年の子どもたちに読み聞かせを行っていただいたりしています。
それと夏休みの午前中には「サマーチャレンジ」という活動を行う予定です。いろんな知識やスキルを持った地域の方々のご協力を得て、日頃の授業ではできないような講座を開きます。10日間の実施で、34の講座を計画しています。

あやの台小学校では「ESD=Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)活動」に熱心に取り組まれているそうですが、具体的に教えていただけますか?

6年生は「防災」、5年生は「環境」、3年生は「食」といったように、学年でテーマを決めて進めています。他の学校でも、このような授業は「総合学習」の時に取り組んでおられると思うのですが、あやの台小学校では総合学習だけでなく、他の教科の取り組みと関連づけて学んでいるのが特徴的ではないかと思います。
例えば「環境」なら、社会科の学習、家庭科の学習などと関連づけて指導するようにしています。

5年生の「環境」では、「エコマ―ト」という活動がユニークですね。

子どもたちが環境問題について学習して、環境にやさしい活動を行っていこうということで、自分たちで会社を設立し、端切れ布や不要になった服から手芸品を作って販売したり、環境負荷を抑える完全無農薬野菜を栽培して学校で販売したりといった取り組みです。

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子どもたちで会社を設立させるのですか?
授業の中とはいえ、ユニークな試みですね。社長も子どもたちが務めているのでしょうか?

社長も副社長も子どもたちです。会社ではいろんな役割を決めているのですが、「誰が何をする」という時に自分の想いをプレゼンして、それで選んでいくのです。選ばれた子どもはそれなりの責任感を持ちながら、しっかり役割をこなしています。私たちも「なかなか大したもんだな」と思って見ています。

自立心が育つ教育ですね。

環境問題について学びながら、職業教育、キャリア教育としての要素もありますね。
1年間取り組んだ「ESD活動」は、3月に「凝縮ポートフォリオ」としてまとめます。まとめでは、自分が活動を通してどのように考え、どのように変わっていったか、しっかりと言える子が多いですよ。そのような背景から、うちの学校では「主体的学習者を育てる」という研究テーマを掲げています。受け身的に「できる」人間を作るだけではダメだということで、この研究テーマに取り組んでいます。

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環境教育のひとつとして、校内にビオトープを設置。

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運動場の一角には、ご覧のような大木がそびえる高台が。子どもたちが作ったベンチが並び、みんなで休憩しているそうです。

卒業した子どもたちが大人になり
地域の人となって「お返し」してくれれば

校舎にも、授業内容にも、非常に首尾一貫したものを感じます。まだまだ若い学校ですが、将来が楽しみですね。

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まだまだ学校としての歴史は浅いので、「あやの台小学校」といえば何なのか、ちゃんと外に出せていないですね。長年続けていくことで、みんなから理解してもらえるようになればいいと思います。
まずは今やっている取り組みを続けて行かねばなりませんが、それを学校の仕組みとしてしっかりしたものにする必要があります。私は2代目の校長なのですが、初代の校長がいろいろ立ちあげられて、それらを続けることができるような仕組みを作ることが、私の役目だと思っています。校長が代われば無くなってしまう・・・そんなことがあってはいけない。継続的にしていくことが、子どもたちにとってもプラスになりますし、そこは大切にしたいですね。

継続していくことが、やがてあやの台小学校の「校風」になるかもしれません。

彩の台は若い家族が多いですが、学校もまた家族とともに成長していきます。10年、20年経ち卒業生が"地域の人"となって、「あや小って、こんなにいい学校なんだよ」と未来の子どもたちに自分たちがしてもらったことをお返しする。その時、彩の台に居る居ないは関係なく、別な場所に居たとしても、そういうことを覚えていてくれて、大人として子どもたちに関わってくれる人になっていたら、本当にうれしいですね。

ありがとうございました。

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